テレビ寺子屋 on さくらだい2
2024.09.11(水)「子どもたちの「自分探し」を応援する」
東京大学名誉教授 汐見稔幸
日本ではしばらく前まで受験システムががっちりできていて、その中でできるだけ上位を占める、つまり点数偏差値を上げて銘柄の学校に入ったらだいたい幸せになっていくだろうという、ある種のサクセスストーリーがわかりやすい形でありました。しかし、社会は大きく変わってしまいました。変化がすごく早い時代には、そういう時代にふさわしい生き方をしていかないとうまくいきません。点数偏差値だけで人生を選ぶ時代はそろそろ終わります。それよりも自分が本当にやりたいことを幼い頃からしっかりと見つけ、そのことにこだわって生活していくと、「将来こんなことをやったら自分らしく生きられるんじゃないか」ということのヒントが自分の中でたくさん得られます。そういう生き方を大事にしていただきたいのです。
なぜ点数偏差値だけではうまくいかなくなってきたのか。理由の一つは職種がものすごく増えてきたということです。インターネットや情報関連など、名前を聞いただけではわからないような仕事がどんどん増えて、従来の仕事が無くなってきています。「○○大学を出た」などではなく、「才覚やアイデアが大事」ということが増えてきます。どうしたら子どもたちがたった一度しか生きられない人生を自分らしく生きていってくれるようになるのか?それを考えないといけません。それを僕は、「子どもたちの自分探しを大事にしてあげよう」と言っています。自分が本当にやりたいことって一体何なのだろうか?やりたいことなんて、簡単にはわからないのです。
人間は、赤ちゃんの時にはいろいろやりたいことをやる。でも、それがそのまま仕事になるわけではありません。社会の中で様々な仕事を見て、「ああ面白そう」、あるいは「ああいう仕事があるなら僕はこんなことやりたい」などと、ヒントにしていくわけです。いろんな面白い生き方をしている人と出会わなければいけません。「学校の勉強の中身がすごく面白かったからもうちょっとやってみたい」とか、「お母さんお父さんと出かけ、そこで見た風景が忘れられなくてああいうところで生活してみたい」とか、実際にいろんな体験をしていかないと、自分がやりたいもの、こだわりたいものを見つけるということはそう簡単ではないのです。
子どもたちに、こんな面白い世界があるよと、いろんな体験をさせてあげてほしい。そして、動き出す時に「自分だったらできるんじゃないか」と、自分に自信を持っていることが大事です。その自信を育てるために一番良い方法は、子どもたちの言うことをしっかりと聞き、豊かな対話をすることです。子ども扱いしないで、「面白いことを考えているのね、ママはこう思うけど」などと親子で対等の対話をしていると、自分が認められていると感じ自信が出てきます。そうやって自信を育てることによって、子どもの「自分探し」をいろんな角度から応援してあげてほしいと思います。
※ 参照 テレビ静岡テレビ寺子屋HP
テレビ寺子屋 on さくらだい1
2024.09.11(水)「AI社会に生きる子どもたちに」
東京大学名誉教授 汐見稔幸
将来の社会を「AI社会」と呼んでみたいと思います。AIとは「人工知能」のことで、あらゆるものに自分で考えることができるコンピュータを組み込んでいくわけです。例えば自動車は将来的には全部自動運転になり、自分で運転している人を見ることがなくなるかもしれません。とても便利になっていきますが、そうなっていくことが人間に何をもたらすのかということについては、それほど丁寧に吟味されているわけではありません。実は、心配なことがすでに何点か指摘されています。
例えば、映像で綺麗な紅葉を見て楽しむのと、森や山を歩き紅葉を体験するのと一体何が違うでしょう。実際に歩いてみると、映像で見るのとは全く違います。足を滑らせたり、風が吹いてきてちょっと寒く感じたり、木漏れ日の美しさに気づいたり、予想していないことが次々と起こります。
私たちは「五感」を総動員して物を深く知ろうとするのです。感覚器官を使って、自分なりに「こういうものなんだ」と感じていくことを「直接体験」、目と耳だけで何かわかったようになることを「間接体験」と言います。
AI社会は下手したら、情報をどんどん上手に届けてくれ、間接体験だけでいろんな物事がわかったつもりになる、そういう社会になっていく可能性があるのです。五感を使わないと本当のことはわからない。五感を使って感情が豊かに動き、「あれはいいよね」とか、「あれって本当は怖いよね」という価値づけをすること。これを「意味を作る」と言います。
自分なりに体験をして、五感をフルに働かせながら価値づけをする、つまり「意味を作る」こと。これが「物事を本当に知る」ということなんです。AI社会になると「情報はいっぱい持っているけれども、でも本当の意味はわかっていない」そういう人間を大量に作る可能性があります。
さらにもう一つ心配なこと、それを私は「文化と文明は違う」という風に表現しています。似たような言葉なのであまり区別しないで使うことが多いですが、「文化」は「手間暇かけて苦労して価値あるものを作り出す営み」のことを言います。対して「文明」は、「人間が面倒でもやってきたものを機械にとって変わらせることで、楽に快適に早くできる、作られた仕組み」のことを言います。ですから、文明というのは文化と違って、人間の欲望欲求をできるだけ手っ取り早く楽に実現することです。忙しい私たちの生活の中には両方必要ですが、大切なのはそのバランスです。例えば便利な冷凍食品を素早く食べる一方で、自分で手間暇かけてでも美味しいものを作る。そういうことができる自分がうれしい。「文明」が栄え、「文化」が滅ぶということにならないようにしていかないといけません。
まずは子どもたちに直接体験をいっぱいさせてあげてほしい。いろんな人と関わる体験をさせてあげてほしい。そして文化というものを大事にする人間に育ってほしい。AI社会の中で人間らしく上手に生きるため、幼いころからそういったことを意識して育ててあげてほしいと思います。
※ 参照 テレビ静岡テレビ寺子屋HP
お茶摘みに出かけたよ
2024.06.21(金)
園バスに乗って、お茶摘みに出かけたよ
晴天に恵まれ、富士宮市黒田にある「お茶のやま文(ぶん)」さまへ。
たいへんお世話になり、無農薬のものを摘ませてもらいました。
子どもたちはとてもうれしそうに、
「お茶摘み、たのしい! たのしい!」と
たくさんお茶摘みができました。
(静岡新聞 2024.6.14)
花まつりファミリー参観
2024.05.30(木)
晴天に恵まれた花まつりファミリー参観
ステキな稚児行列
ママの笑顔が咲いたよ
東儀秀樹氏の
花まつりコンサートも
堪能していただきました。
新年度の運営VISION発表
2024.04.05(金)
新年度を迎えるにあたり、心機一転できるようこのような場を設けました。先ほどの読経は、一年間の保育、幼児教育の無事と、子どもたちの健やかな成長、先生たちの健康と願いごとが叶うよう、祈願しました。新たに職員を迎え、新たな一年が始まります。
新年度の運営ビジョンの発表です。運営ビジョンは、運営方針、運営の展望ですが、その前に一月の研修をしていただいた黒田陽子先生からメールを紹介します。
大嶽先生 大変お世話になります。
来年度の運営ビジョン、拝見いたしました。
10秒の冷静な時間を意識的にもつのは、非常に大切ですね。
昨年の習慣の話の中で触れさせていただいたように「刺激」と「反応」の間に意志を働かせ俯瞰の間をとることは、仕事の正確さに繋がると思います。
また、今回も「表情は景色の一つ」を入れていただいたこと、心から嬉しいです。
お写真の皆さんの表情のように素晴らしい笑顔が、誰とも対していない瞬間でさえ保たれたら、これ以上の強み(美しさ)はないと思います。
シンプルですが、なかなかできることではありません。
笑顔になる前に見られているから、たいていの人は笑顔ではない
笑顔になる前に見られているから、笑顔の準備は間に合っていない
笑顔は、つくるまえに見られている
これが「いつも笑顔で」の理由
ダイヤモンドのごとくキラキラ輝く内面をもったさくら台幼稚園の先生方が
いつどこからでも、子どもたちや保護者の皆さまから、その輝きを感じていただけるよう願ってやみません。
日頃の表情ほど、安心と信頼をもたらすものはないと思います。
お世話になっているITベンチャーの社長が、最も心がけているのは「モナリザの微笑み、常に口角を上げること」とおっしゃっていました。
合理的でデジタライズされた世界の方の言葉だからこそ、重みがありました。
彼の話を思い出すたびに、自分の口角をキュッと上げる私。まだまだ修行の身です。
来週は桜の開花のニュースが聞けそうですね。
どうぞ素敵な春をお過ごしください。 黒田陽子
昨年度の運営ビジョンは、まず幼稚園ではいろいろなケガやアクシデントがあります。チームワークよく、経験のある先生に相談して必ず、先手必勝、先手先手で対応すること。
二つの目標は、素敵な笑顔でした。保育者、大人のマスクの着用は、子どもの認知能力や言葉の獲得に妨げとなってきました。まんま〜、ブーブーと言う口元を見せることは大切なことです。
みなさんの表情はこのさくら台幼稚園の景色のひとつで、大好きな人に久しぶりに逢った表情を、朝、鏡の前で、出勤時、車のルームミラーで確認することでした。
③番目はLast eye contact でした。目は口程にものをいうといいます。保護者、保育業者さん、来訪者、Last eye contact最後の目線合わせを習慣づけることでした。
令和6年度運営VISIONです。
理念は20年後の子どもたちの まぶしい未来を創る幼稚園です。保育のプロ、プロフェッショナルとして、常に子どもの健やかな成長のために、を判断基準にしてください。
目標の「自分への信頼」です。富士市も静岡県も少子で、園児数の減少、職員も採用難ですが、「ゆるブラック」という言葉がある通り、例えば三年間、何のおとがめもなし。励ましもなし。子どもの健やかな成長のためには、先生自身の感受性や情熱、誠実さ、スキルアップが必要ですが、これはAIにはできません。人工知能には、幼児教育、芸術や他者を感じる力はありません。私たち人間は38億年の旅をしてきました。子どもを「作る」といいますが、人は細胞一つ作れません。受精卵が作られると、おなかの中で魚のエラなど38億年の旅を、わずか38週の間にします。日本は世界で一番の国家ブランド、世界で一番の債権国(他国から受け取る金額が、支払う金額よりも多い国で信頼されているといえます)、ミシュランもノーベル賞も世界に冠たる国です。
今年さくら台幼稚園は七十周年を迎えます。今年の箱根駅伝は,駒大は青学に負けてしまいましたが、駅伝のたすき、リレーのバトンを、受け取った皆さんが、どう次の世代へつなぐのか。
目標の一番目は、仕事は正確に。10秒考える、一月二日のJAL機の接触事故。機長との連絡が取れない中、経験の浅いCAが自ら判断し避難誘導をしました。全乗客の奇跡の脱出劇は、ハイパープロフェッショナルと世界から賞賛の嵐でした。
今後10年、20年には必ず大きな地震が来たり、ほぼ毎年のゲリラ豪雨。冷静に判断し子どもの命を守り、日頃の保育、幼児教育では、子どもとの信頼関係、保護者との信頼関係を築かなければなりません。
10秒深呼吸して考える。毎年の目標ですが、先手とチームワークよく。必ず再確認。過去と相手は変えられませんが、未来と自分は変えられます。「伝えましたよ」だけでは、仕事は進みません、「大丈夫だと思うけど、やった?」「昨日伝えられたこと、済ませておきました」と再確認をお願いします。
二つ目は、未来を変える自由を「今」持っています。先生自身の心、感じる力が、子どもの感受性の豊かな育ちにつながります。
共感する力、他の人の気持ちを感じるマインドを、はぐくむには、どうしたらようでしょう。私は感謝することが一番の近道だと思います。朝、目覚めたときからから、一日寝るまで、たくさんの「ありがとう」が言えるそんなステキな一日、一週間、一年にしてください。
三つ目は心を届けるために まずカタチを整える。表情はさくら台幼稚園の景色の一つです。笑顔、目線合わせ、美しい姿勢、残心(Last eye contact最後の目線合わせ)。目チカラ、目のチカラ、視線を合わせるのが、苦手な先生は、相手の眉間、あご、喉元でも見つめる習慣づけをお願いします。
目標の「自分への信頼」。かけがえのない「自分への信頼」、70年目のさくら台の幼児教育は、なんとなく自分ならできるそうな気がするという、くじけそうなときでも立ち直れる自己肯定感を育んでほしいです。令和六年度 運営VISION よろしくお願いいたします。